息子の家出から13日目、もう2日後の来週から、後期の授業が始まります。今日、明日に戻って来なければ、息子は学校にも行く気が無いという事です。もう、この家には戻らないと心に決めて出ていったと考えていいでしょう。
「 バイトに行ってくるね。 」と私に声をかけたのに、実は今生の別れのつもりでいたという事です。思い出すと悲しみと怒りが混ざり合った奇妙な感情が湧いてきます。
私は来週、東京に捜索に行かなければならないと考えていました。
もし、お金が無くなって困っていても、直接、家に帰って来るのはなかなか出来ないかもしれません。私が息子であったなら、家出はなく、おじいちゃん、おばあちゃんの所に行くでしょう。それが結果的には家に帰ることを意味しても ・・・
可能性は低くとも東京での探索は私に課せられた使命なのでしょう。東京が広くとも、もし、私が探しまわらずに息子が一生帰って来なかったら、私は生きている間、後悔することになるでしょう。そのおじいちゃん、おばあちゃんの所を拠点として、捜索している内にひょっこり出会える可能性だって、ゼロではないのですから。
そう思って、私の母の携帯電話に連絡しました。
母は直ぐに父と電話をかわりました。母は同じことを繰り返し言ってしまう癖があり、今回も悲嘆にくれる話をするので私は注意していたのでした。今の私には聞き流す余裕が無かったのでした。それで私との話を避けて父に電話を代わったのでしょう。
「 来週、泊まらせてもらうから。 」
暫く、息子捜索にそちらに行くと伝えました。父は、私が暫く宿泊するのはいいのだがと前置きして言いました。
「 お前だけでなく、家族一丸となって探さないとダメだぞ。 」
父の意図している所は、私だけが探し出そうと苦心するのではなくて、妻も同じ気持ちでいないといけないというのです。
しかし、妻はこのストレスから逃れたいと思っています。子供が居なくなった悲しみはそれは辛いものです。自分では解決できそうにもないと思うから、出来るだけ考えたくないと思う妻の気持ちは良く分かります。しかし、父に電話で言っても理解してもらえるとは思えなかったので、妻も息子を心配していると伝えました。
そう電話で話していて、私は気づいたのでした。父の考え方やモラル、世界観が疎ましく思えた自分についてです。
昔は父を煙たいと思って避けていました。父の思想が覆いかぶさって来て自分の生き方を左右しようとしたからでした。高校三年生の頃でしょうか、私も家出して一人で生きていきたいと考えてたのでした。でも、実行しなかったのは、家出しても自分の将来に有利になるとは思えなかったからです。
私は息子の事が心配で、何かにつけて関わろうとして来ました。父の様に私の考え方が息子に圧し掛かり、息苦しかったのかもしれません。私が父を恐れていた様に、息子も私に叱られることを怖がっていたと思います。様々な嘘で私に叱責されるのを逃げる為に家出したのかもしれません。
私の父親としての欠点が家出の原因、そうかもしれないと思えてなりません。
家出息子捜索日記
- 失踪当日の出来事
- 息子の嘘のバイト
- 再び嘘をつかなければならなくなった息子
- 行方不明者の届け出
- 家出の手がかり 自転車防犯登録番号
- 息子の自転車を探す
- 自転車発見! 家出の足取り
- 銀行口座の取引履歴を調べる
- どうしてお盆に失踪したのか?
- 個人情報保護法の壁
- 緊張はピークに 息子の失踪から5日目
- 真夜中の東京を家出人の捜索
- 留守録への期待
- まだ息子の帰りを待つ段階
- 失踪8日目に、息子へ送ったメール
- ハローワークが家出や失踪をし易くしている
- 高額の嘘 奨学金の申請
- 失踪者は何をしているのか?
- 失踪者の捜査権がない
- 家出の原因は父親の欠点
- 家族も、学校も、全てを捨てて
- 家出の話をすると気が楽に
- 東京へ家出人捜索に出発
- 家出人捜索開始 池袋にて
- 眠れなかった池袋の漫画喫茶
- 息子の捜索、早朝の山手線を
- 家出人の発見 息子に会いに小田原へ
- 家出息子を警察から引き取る
- 家出の資金4万円が9円になっても
- いよいよ家出息子が帰る時