息子の嘘のバイト先から家に戻ると、事の重大さに身が震える思いがしました。深い谷に一人で落ちてしまった気持ちです。
息子を心配に思う気持ちが最も大きかったのですが、怒りもありました。
息子はさんざん私たちに嘘をついていたのです。
息子をバイトに行かせることに積極的だったのは妻です。私も自分と違う年の人と話すのは本人の為になると考えていました。
私がそう考えたのは、以前から息子は人と話すのが苦手で友達がなかなか出来なかったからです。私は息子を哀れに思っていました。だからコミュニケーション力をつけて人と仲良くなれる様になって欲しかったのです。
だから、大雨や台風の時はバイトに行くのが大変だと思い、車でコンビニまで送り迎いした事も何度かありました。
息子が嫌がっていたので、バイト先の店の中に私が入る事はありませんでした。迎えに行った時は息子はコンビニの前で傘をさして待っていました。だから、私は息子がコンビニで働いている姿を見たことがなかったのでした。
でも、そこまでして、どうして嘘をつく必要があったのでしょうか?
「 やっぱり、コンビニのバイトを辞めるよ。 」と言えばいいものを。
妻も、自分に合わなければ、バイト先を変えても良いと言っていたのに。私に至っては、それ程、息子がバイトするのをそれ程勧めてはいなかったのでした。
本人が一番辛かったのだと思います。
土日のどちらかにバイトを入れていましたから、家を出てどこで何をしていたのでしょうか?雨や台風の日は嘘さえつかなければ家に居れたものを。
学校が終わった後、バイトをして帰ってくる日が週に2日ありました。その折は、妻は息子に夕飯代を渡していませんでした。バイト代が結構入るから要らないだろうと思ったからでした。本人もお金が欲しいと言った事はありませんでした。
ではお金はどうしていたのでしょうか?
土日、嘘のバイトの時間、外で過ごすのにお金だって必要だっただろうに。
息子の安否を心配に思う気持ちの横に、息子の嘘への怒りがありましたが、掻き消えてしまいました。その代わり、哀れな息子への愛情がこみ上げてきました。
私は途中まで仕掛った夕飯の用意を止めて、警察に行くことにしたのでした。娘に自分で適当に食事をする様に言い、息子の写真を探し出し、家を出ました。
家出息子捜索日記
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