深夜の東京徘徊から戻ってみると、既に明るくなっていた。
家に着くと娘は起きていて、朝早くから部活の練習試合に行くと言って出かける所でした。
それから2,3時間睡眠を取りました。
目覚めても気怠さを引きずっていました。息子を早く取り戻さなければならないという焦りは薄らいでいました。立ち塞がる壁を実感して戻ってきたからです。自分の力では早く解決する事はできないと分かったからなのでしょう。
18歳という年齢は未成年だけれど、社会が失踪を許す仕組みになっている、そんな風にさえ思えます。1500円程で夜を明かすことが出来る漫画喫茶は、18歳以上でないと利用できません。警察だって立ち入って捜索できない特別な空間になっています。
そう思うと息子は18歳が許されているルールを知った上で行方をくらませたのかもしれません。
「 馬鹿だなぁ ・・・ 」
深いため息と一緒に独り言が出ます。
警察に行った妻が戻って来ました。私が会った当直とは別の警察官と話をして来たらしいです。
警察経由でワイモバイルに通信履歴を開示してもらう様頼むことはできるのだが、一度切りなのだとか。だから、ここぞという時に依頼した方が良いと言われたそうです。
世の中、お盆休み期間中なので警察も暇そうで、長々と話をして来たそうです。
妻は自分が出来る事がもう残されていないと思ったのでしょう。待つしかないと腹をくくった様です。
ネットでワイモバイルの今月の利用料金を調べてみました。息子は4回、無料通話をしています。その内1回は私にです。前日確認した内容から変わったのは、留守録の費用です。
ワイモバイルは、留守録を残すのに20円、それを聞くのに20円かかります。ネットで当月の利用料金が分かるのは、2日前までなので、毎日チェックしていれば、メッセージを聞いてくれたのか分かるというわけです。
見ると、40円加算されていました。電話しても電源が切られている様ですが、実はメールも留守録もチェックしてくれているのかもしれません。または、他の誰かがメッセージを残してしまったかです。
これは唯一の明るい希望です。
妻が良いアイデアをひらめきました。
息子が家出する2日前に引き出した銀行口座にお金を入れてみようというのです。そして、その旨を留守番電話にメッセージを残してみようというのです。
息子がメッセージを聞いてお金を引き出すかもしれません。
通帳はこちらにあるので、記帳すれば引き出したことが分かるという訳です。
念のため、お金を引き出す様に促すメールも送ってみました。これで何か動きがあれば、本人が無事でいると分かります。
そうあって欲しいと祈る様な思いです。
家出息子捜索日記
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