いよいよ家出息子が帰る時

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早朝の時間なので、ファミレスのメニューは少なかったのでした。私はモーニングセットを、息子には肉が食べたかろうと思い、ステーキを注文しました。

息子は余程お腹が空いていたのでしょう、先に来た私のモーニングセットのパンケーキを食べていいかと言うのです。

「 自転車で駅まで行った後、どうしたの? 」

家出当日、息子はどうしたのか尋ねました。すると意外な行動をとっていたことが分かりました。なんと歩いて隣の市まで行っていたのでした。電車に乗らず、自転車にも乗らず、どうして歩いて行ったのでしょうか?

私はてっきり高速バスに乗って東京へ行ったものと思い、東京をさんざん探しまわっていたというのに ・・・

家出人息子
 

「 それでどうしたの? 」

私にバイトに行くと言って出ていた日、息子は駅から南に歩いて行ったのですが、特に目的地があったわけではない様です。

途中でこともあろうことに息子はパチンコ店に立ち寄りました。そこで所持金の半分の2万円を失ってしまったのです。パチンコ店であわよくばお金を増やそうと思ったらしいですが、浮世の辛さを味わう事になったのでした。

しかし、この2万円のロスが結果的には息子の帰還につながりました。禍が幸運をもたらしたのでしょう。もし、パチンコ店に立ち寄らなかったら、まだ家出を続けていたでしょうから。

哀れに大枚を失った息子はさらに南東に歩いていくことになります。隣の市の中央公園に4日間いたのだと言います。東屋のベンチで夜を過ごしたのでした。

それで帰ってくればいいのに、5日目に行動を起こします。さらに東に歩いて、結局は東海道線に乗って沼津駅までやって来ます。

「 どうして沼津まで行こうと思ったの? 」

「 その方が時間がつぶれるから。 」

「 時間をつぶすなんて、問題の先延ばしにしかならないね。 」

「 すみません ・・・ 」

 
息子はその日以降、多くの日を沼津駅界隈で過ごしていたのでした。

「 夜とかどこに寝ていたの? 」

「 橋の下とか ・・・ 」

つまり、息子は家出期間中、漫画喫茶等の施設に泊まる事は無かったのでした。ダンボールを下に敷いて雨露が凌げる戸外で寝ていたのだとか。

橋の下

「 夜とか寒かったろう。 」

「 だから歩いていた。 」

どこへ行くと言うこともなく歩いたのだと言います。体を動かして暖まると眠りやすくなるのだとか ・・・

そこまでして家出をどうしてするかなぁ ・・・ と親からすると可愛そうに思えます。

「 ところでどうして家出したの? 」

息子の回答は意外でした。

「 バイトやめていたのが、バレそうになったから 」

家出しなかったならば、バイトをやめていたことなど知られはしなかったのに ・・・

でも、それだけなら家出する程の理由とは思えませんでした。それよりも奨学金の方が額が大きいので深刻な話なのに。

 

つまり、夏休み、バイトを再開することになったのが家出の原因だったという訳です。
一旦、嘘をつきだすと、その場しのぎで次々と嘘をついてしまう様になってしまったのでしょう。

こんなにお腹が空くまで、一人で放浪していなければならないなんて!

この嘘を無くしていく事が、息子の復帰の鍵になることが分かりました。

 
息子が綺麗にステーキを食べ終わったのを見て、ファミレスを出ました。いよいよ家に帰る時がやって来ました。

二人して小田原駅まで歩きました。タクシーに乗ろうという気にはなれませんでした。二人して歩いているのが嬉しかったのです。

「 これ持って。 」

坂道で私は自分の重い荷物を息子に持たせました。息子はしっかりとした足取りで私より早く坂を登っていきました。

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