妻の話では、山では天気が悪く行程が遅れていたのだとか。それで携帯電話の電波を拾える尾根に都合よく来れたのだとか。
天気が悪くて面白くなかったので、息子の失踪が切っ掛けで下山する気になったのかもしれません。どういった理由にしろ協力者がいてくれて良かったと思いました。
もう既に夜の9時を過ぎていましたが、二人で隣の市の、人が集まる場所に行ってみることにしました。ネットカフェ、マクドナルド、ショッピングセンター等を回りましたが、意外と置いてある自転車は少なかったです。
調べた防犯登録番号がある自転車を見つける事ができませんでした。
最後に市内の駅に戻ることにしました。東京からの最終便の高速バスが到着する時刻だったからです。
まず、駅前の駐輪場の自転車を確認しました。自転車が置いてある可能性が一番高いと思われる場所です。その日、私が既に見て回ったのですが、妻にも見て欲しいと思っていました。
「 これじゃない? 」
妻が指示したのは、前籠に擦れたゴムバンドが入れられている自転車です。
文字がかすれて数字が読み難くなっていますが、防犯登録番号が正しく息子のものでした。良く見ると確かにサドルの形やギアチェンジの様子に見覚えがありました。
自転車が見つかったというのは、大きな進捗です。やはり、自分一人で探すと見落としがあるのを思い知らされました。
気持ち的には、これでかなり楽になりました。
本人の意思で自転車を置いているので、何か事件に巻き込まれて行方不明になった可能性はかなり低くなりました。とりあえず、無事でいてくれる事を一番願っていたことでしたので。
これで家出した息子の足取りが推測できます。息子は家を出た後、駅まで来て自転車を駐輪場に置いたわけです。駅まで来たからには、電車に乗ったかバスに乗ったかです。以前、本人の希望で行った事がある、高速バスでの東京、やはり一番可能性が高い気がします。
妻と二人で離れて立って高速バスを待ちました。
駅の改札口は2階にあります。駅につながっている陸橋は駅前の通りをまたぐ様に位置しています。その上から見ると1Km先のカーブにバスが姿を現すのが見える筈です。
また、横をみれば駅の改札口から出て来る乗客も見えるので、最終電車に乗ってきた人もチェックする事ができました。
最終高速バス、最終電車からは、息子の姿が降りて来ることはありませんでした。
失踪して2泊目です。どうやって夜を過ごしているのでしょうか?
こういう事態になった息子が哀れに思えてなりません。日付が変わった後、妻と家に帰りました。
家出息子捜索日記
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