息子の行方不明の届けをした警察の窓口に私は電話をしました。今から行って相談したいことがあると言うと、嫌そうな応対でした。
それで要件は聞かれたので、ハローワークに息子は求職者登録をして、仕事を紹介してもらってはいないか、警察経由で聞いて欲しいと頼みました。
「 それは難しいでしょうね。 」
それでも聞いてみてくれるというので頼みました。警察官の対応が、なんか感じ悪く思いました。
会ってくれないとは思ってもみませんでしたので、私は既に警察署に向かって家を出て、途中の公民館の駐車場で電話していました。急に警察署に行くことなくなってどうしたものかと私は車の中で思案しました。
「 そうだ、お願いしよう。 」
こういう時にこそ、お参りして助けてもらおうと思い立ちました。車をその駐車場で降り、歩いて神社まで向かいました。そう言えば、今年の初詣を息子と二人でこの神社に来たのでした。息子がおみくじを引いて大吉だったのを喜んでいました。
初めは苦労しても中ごろは慣れてきて良くなるといった意味の詔が書かれていたのを覚えています。今年は専門学校に進学するという新しい門出なので、嬉しかったのだと思います。
それに5月の連休のお祭りも二人でこの神社に来たのでした。雨の中、二人で散策して帰ったのでした。
拝殿の前に立ち、お賽銭を出そうとして気づきました。私は財布を持たずに家を出てきてしまったのでした。息子が家出してから、忘れ物も多いし、これまでぬかりなく出来たことが出来なくなっていました。
お賽銭なくとも、一礼二拝二礼で、息子が無事に戻ってくれる事をお願いしました。
神社を出ようとした所で、警察より電話がありました。やはり、ハローワークは息子の情報を教えてくれませんでした。
「 警察には家出人の捜査権はありませんから 」
警察が言ってもハローワークが教えてくれないのは、捜査権がないからだと言います。事件に関してならばハローワークに聞くことが出来ても失踪・家出の場合、何も出来ないと言うのです。
それならば、どうやって親は子供の事を調べるればいいのでしょうか?
ハローワークで仕事を紹介してもらって失踪しても家族は探せない!
そんなことがあっていいのでしょうか?これではハローワークは失踪の助長機関の様です。
私は怒りというか悲しみというか、言い表せない感情が込み上げて来ました。警察は要件が済んだので電話を切ろうとします。そこに私は食い下がりました。
「 息子が持って出たバッグが落し物として届けられていないか調べたにのですが ・・・ 」
電話をかけても電源がいつも切られている様なので、バッグごと捨ててしまったなんていう事もある気がしたのです。息子のバッグは赤く特徴があるので、分かりやすいと思ったのでした。
「 そんなことしますかね? 」
その警察官は嫌そうに言います。正常な精神状態なら失踪などしないのだから、あり得るだろうと私は言いました。
「 なにか手がかりがあればと、藁にでも掴みたい気持ちなのです。 」
そういうと、落し物を確認する方法を教えてくれました。県警のホームページに落し物の情報が掲載されていると言います。そこから検索する様、教えてもらいました。
電話を切ってから、振り返ってお参りした拝殿を見上げました。心の中でこの現状をなんとかして下さいと神様にお願いしました。
家出息子捜索日記
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